16.5
ティナを救出に行くメンバーは、その後の話し合いで、椎子の他にエドガー、ロック、セリスに決まった。出立はロックが体調を整えてから、という提案もあったが、当の本人が頑なに大丈夫だ言って聞かなかったので、四人はすぐにナルシェを発つことになった。それでなくても強い反対がなかったのは、口には出さないだけで皆ティナのことが心配だったのだろう。
出発する時には、ナルシェに残る三人も入り口まで見送りに来てくれた。
「シイコ殿、気を付けてゆくでござる」
「はい。カイエンさんも」
カイエンは穏やかに笑いかけてくれる。この先何があるのかわからない。またナルシェが戦場になるようなことがなければよいのだが……不安は様々にあったが、椎子も笑みを返す。
「シイコ、戻ってくるか?」
カイエンの隣で、ガウが心配そうな顔をする。椎子はガウの手を取った。
「うん、戻って来るよ。もし帰る家が見つかっても、お礼もお別れも言わずに帰ったりなんて絶対ないからね」
「ガウ、待ってる!」
「うんうん。あ、ガウくん、ナルシェにいる間は寒くないようにして気を付けるんだよ。特に寝る時は風邪を引きやすいから。あと、お腹を壊すから落ちてるものを拾って食べたりしちゃ駄目だからね。それと、野菜を残してお肉ばっかり食べるのもよくないと思うな。えーっとそれから」
「そ、その辺りにしておかぬか、シイコ殿……」
椎子たちが別れを惜しんでいる間に、マッシュが移動手段を連れてきた。チョコボである。
「うっ、出た……」
「何だ、シイコ。まだ慣れないのか」
後退る椎子にからかう笑みを浮かべるマッシュだが、連れているのはそれをきちんと考慮しての三羽だ。
「マ、マッシュさんこそ、そんなに油断して、後ろからがぶりといかれても知りませんからねっ」
「はは、だからそんなことないって。ああ、けど、シイコくらい小さかったらありえるかもな」
「ええ!? そんな……って、それはマッシュさんが大きすぎるんですよ!」
マッシュは豪快に笑った後に、椎子の頭をわしわし撫でた。もうしばらくはそうされることもないと思うと、寂しくなる。
「こっちのことは心配しなくていいからな。ティナを頼んだぞ」
「……はいっ、頑張ります!」
椎子はぐっと拳を握って意気込んだ。
「三羽だけなのか?」
椎子たちのところにやって来たセリスが、チョコボを一瞥してから聞いてきた。
「そうなんだ、シイコが乗れないからな」
「ご、ごめんなさい」
「謝るようなことではないが……そうだな、私と乗るか?」
「えっ」
予想だにしなかった誘いに、椎子の脳裏を一瞬で様々な可能性が駆け巡った。
| エドガー | △ 心臓が持たないかも |
| ロック | × 終始いたたまれなさそう |
| セリス | ◎ ありがとうございます |
「――是非! お願いします」
「ああ、わかった」
勢いよく頭を下げる椎子に、セリスはあっさり応じる。
「ごめんなさい、決してお二人がどうというわけではないんです……」
少し離れたところにいるエドガーとロックにそっと詫びる椎子を、
「何の話だ?」
「さあ……」
周りの皆は不思議そうに見ていた。